70歳以上の高齢者におけるPTCyを用いたGVHD予防の有用性:BMT CTN 1703試験のサブグループ解析

70歳以上の高齢者におけるPTCyを用いたGVHD予防の有用性を検証したBMT CTN 1703試験のサブグループ解析 Recent Papers

Abedin S, Martens MJ, Bolaños-Meade J, et al. Impact of posttransplant cyclophosphamide-based GVHD prophylaxis in patients 70 years and older: an update from BMT CTN 1703. Blood Adv. 2025;9(14):3495-3501. doi:10.1182/bloodadvances.2025015964

Why this paper matters

高齢者における同種造血幹細胞移植はGVHDや非再発死亡のリスクから過小評価されてきたが、本研究は70歳以上の集団においてもPTCyを用いた予防法が臨床成績を劇的に改善することを示している。この結果は、従来移植適応外とされがちであった高齢者層に対する標準的アプローチとしてのPTCyの地位を強固にするものである。

Study overview

血液悪性腫瘍の診断時中央値は70歳であるが、米国における同種移植例のうち70歳以上の割合は15%未満に留まっており、移植関連毒性とGVHDの制御が大きな課題である。
第3相試験であるBMT CTN 1703試験(https://doi.org/10.1056/nejmoa2215943)では、HLA適合の血縁ドナーまたは非血縁HLA適合 or 7/8不適合(HLA-A_、HLA-BHLA-C、およびHLA-DRB1遺伝子座のうち1つだけが不適合)のドナーを用いたHSCTにおいて、強度減弱前処置(RIC)後のPTCy群がTac/MTX群に対し1年GRFSで優越性を示したが、本報告はそのうち70歳以上の96例を対象とした事後解析である。
介入群は移植後3、4日目にシクロホスファミド(50 mg/kg per day)、5日目からタクロリムスとMMFを投与し、対照群はタクロリムスとメトトレキサートを用いた。
主要評価項目は1年時点のGVHD-free, relapse-free survival(GRFS)(Grade 3~4の急性GVHD、全身性免疫抑制を必要とする慢性GVHD、疾患の再発/進行、死亡をイベントとし、両群をITT populationで比較)とし、副次的評価項目には、急性および慢性GVHD、GVHDフリー生存期間(GFS)、再発/進行、無再発生存期間(RFS)、非再発死亡率(NRM)、生着、感染症、全生存期間(OS)、および生活の質(QOL)が含まれた。QOLは登録時および100日目、180日目、365日目に、Lee慢性GVHD症状スケールおよび身体機能、消化器症状、社会的役割への参加満足度に関する患者報告アウトカム測定情報システム(PRO-MIS)サブスケールを用いて評価した。GRFS, GVHD, GFS, relapse/progression, RFS, NRM, OSは多変量Coxモデルを用いてドナー型、疾患リスク、HCT-CI、KPS、前処置、移植後メンテナンス療法の有無を調整して解析された。

Key findings

調整済み1年GRFSはPTCy群で67.1%、Tac/MTX群で29.5%であり、PTCy群で極めて有意な改善を認めた(HR 0.27, P < .001)。生存成績においてもPTCy群の1年OSは94.3%に達し、Tac/MTX群の60.2%と比較して良好であった(HR 0.08, P = .001)。
1年非再発死亡(NRM)率はPTCy群で4.7%と、Tac/MTX群の19.4%を有意に下回った(HR 0.19, P = .04)。GVHDに関しては、PTCy群でGrade 3-4の急性GVHDの発症は認められず(0% vs 9.9%)、1年時点の免疫抑制薬離脱成功率もPTCy群で60.0%と、Tac/MTX群の38.8%に対し有意に高かった。
血球回復についてはPTCy群で血小板回復の遅延が認められたものの、Grade 3以上の感染症や臓器毒性の頻度に両群間で有意な差はみられなかった。

Clinical perspective

本研究は、70歳以上の超高齢者においてもPTCyが重症GVHDを完全に抑制し、かつNRMを劇的に低下させることで、優れた1年生存成績をもたらすことを示した。これにより、従来は安全性の懸念から移植が躊躇されていた高齢患者に対し、RIC同種移植が極めて現実的な治療選択肢となる。本解析は症例数が限られた事後解析であり、解析対象が比較的併存疾患の少ない集団に偏っている可能性があるという制限はあるものの、PTCyが高齢者の移植成績を底上げする強力な予防手段であることを支持する結果となった。今後は、さらに併存疾患を有する症例への適応拡大や、PTCyプラットフォーム自体のさらなる毒性低減を目指した研究が期待される。