未治療のNPM1変異またはKMT2A再構成を伴う高齢者急性骨髄性白血病に対するアザシチジン、ベネトクラクス、レブメニブ併用療法の安全性と有効性

高齢者AMLに対するアザシチジン、ベネトクラクス、レブメニブ併用療法の第I相試験 Recent Papers

Zeidner JF, Lin TL, Welkie RL, et al. Azacitidine, Venetoclax, and Revumenib for Newly Diagnosed NPM1-Mutated or KMT2A-Rearranged AML. J Clin Oncol. 2025;43(23):2606-2615. doi:10.1200/JCO-25-00914

Why this paper matters

本研究は、特定の遺伝子異常を有する高齢者の急性骨髄性白血病における初回治療選択に直接影響を及ぼすものである。既存の標準治療であるアザシチジンとベネトクラクスの併用療法は、従来の治療に比べ生存期間を延長させたものの、2年生存率は依然として低く長期予後の改善には限界があった。本研究は、これら特定の分子病態に深く関与するメニン阻害薬を標準骨格に上乗せすることで、より深い治療反応と高い完全寛解率が得られるかという問いに対し、微小残存病変の陰性化を伴う高い臨床活性という答えを提示した。

Study overview

これまでのエビデンスでは、VIALE-A試験に基づき、集中化学療法不適応の高齢患者に対するアザシチジンとベネトクラクスの併用が標準戦略として確立されている。
しかし、NPM1変異またはKMT2A再構成(KMT2Ar)を有する症例において、これらと生物学的に親和性の高いメニン阻害薬を追加することの臨床的妥当性は未解決であった。
レブメニブは、メニンとKMT2Aの結合を阻害する、経口のメニン阻害薬である。AMLのNPM1変異やKMT2Arは、メニン依存的なホメオボックス(HOX)遺伝子の異常な転写プロファイルを保有しており、これが分化停止や白血病化を誘導する。レブメニブはこのメニン依存的な転写を阻害することで、抗腫瘍効果を発揮する。
レブメニブは、主に再発・難治性(R/R)のNPM1変異またはKMT2Arを有する急性白血病を対象に開発が進められてきた。
米国ではR/R KMT2Ar AMLに対して承認されており、同集団において全奏効率63.2%、完全寛解率17.5%、全生存期間中央値8.0か月という臨床結果が示されている(AUGMENT-101)。
本研究は、標準治療へのレブメニブ上乗せが高い安全性と強力な抗腫瘍効果を両立するという仮説を検証した。
研究デザインは第I相用量漸増および拡大試験であり、2022年3月31日から2024年9月24日まで登録が行われた。
対象は、強力化学療法の適応外または実施を希望しない、NPM1変異あるいはKMT2Arを有する60歳以上の未治療急性骨髄性白血病患者である。
割付は、3+3デザインによる用量漸増後、拡大コホートへの登録および一部の用量群間でのランダム化が実施された。
介入内容はアザシチジン、ベネトクラクス、およびレブメニブ(113mgまたは163mg、1日2回)の3剤併用であり、対照群は設定されていない。
主要評価項目はレブメニブの推奨用量の決定であり、用量制限毒性の発現頻度に基づき定義された。
統計解析は、薬剤を1回以上投与された全症例を対象とする意図した治療(ITT)解析に基づき、ハザード比の算出ではなく記述統計および生存解析モデルが用いられた。

Key findings

主要評価項目である推奨用量は、レブメニブはCYP3A4によって代謝されるため、強いCYP3A4阻害薬を併用する条件下でレブメニブ163mg(1日2回)と決定された。
奏効率は88.4%(95% CI, 74.9–96.1)、複合完全寛解率は81.4%(95% CI, 66.6–91.6)であった。
副次評価項目に関しては、評価可能であった37例全例(100%)においてフローサイトメトリーによる微小残存病変の陰性化が確認された。
安全性において、分化症候群は19%(8/43)、QTc延長は44%(19/43)に認められたが、これらによる投与の永久中止は発生しなかった。
グレード3以上の非血液毒性は、発熱性好中球減少症(26%)、急性腎障害(19%)、呼吸困難(14%)などであった。
30日および60日死亡率はともに7%であり、死因はすべて感染症であった。

Clinical perspective

本研究のデータは、特定の遺伝子異常を有するAMLの一次治療における高齢患者の治療戦略として有望な結果を示した。
同種造血幹細胞移植を目指す状況や、より確実な完全寛解を目指す場合には、将来的に有力な選択肢となり得る。
現在、本剤の効果を検証するために、アザシチジン、ベネトクラクス、レブメニブ併用と、アザシチジン、ベネトクラクス、プラセボを比較する第III相無作為化比較試験が進行中である。