ステロイド抵抗性急性GVHDに対するルキソリチニブの長期的な優越性と安全性:第III相REACH2試験の最終解析結果

ステロイド抵抗性急性GVHDに対するルキソリチニブ第III相試験の最終解析 Recent Papers

Mohty M, Socié G, Szer J, et al. Ruxolitinib Versus Best Available Therapy in Patients With Steroid-Refractory Acute Graft-Versus-Host Disease: Final Analysis From the Randomized Phase III REACH2 Trial. J Clin Oncol. 2025;43(34):3639-3645. doi:10.1200/JCO-25-00809

Why this paper matters

ステロイド抵抗性急性移植片対宿主病(SR-aGVHD)において、JAK1/2阻害薬ルキソリチニブの長期的な有効性と安全性を検証した第III相試験の最終解析である。24ヶ月にわたる追跡調査により、従来の最適療法(BAT)と比較して無治療不成功生存期間(failure-free survival; FFS, 無作為割付日から血液疾患の再発/進行、非再発死亡、または新たな全身性aGVHD治療の追加までの期間)を有意に改善することが分かり、SR-aGVHD治療における本剤の臨床的意義をより強めた。

Study overview

同種造血幹細胞移植後の主要な合併症である急性GVHDにおいて、標準治療であるステロイドに抵抗性を示す症例は予後不良であり、有効な二次治療の確立が課題となっていた。
本研究は、ルキソリチニブの長期的な有用性を検証するため、12歳以上のSR-aGVHD患者309例を対象に、ルキソリチニブ(1回10mg、1日2回)と研究者が選択したBATを1:1の割合で比較したランダム化第III相試験であるREACH2試験の最終解析である。同試験では28日時点での全奏効率(ORR)においてBATを有意に上回り(62% vs 39%; OR 2.64 95%CI(1.65 to 4.22); P<0.001)、本邦においても2023年8月に急性・慢性(REACH3試験, final analysis)ともにGVHDに対して効能追加が承認されている。

主要評価項目は28日時点のORR(治療反応性定義)であるが、本解析では最長24ヶ月時点における奏効持続期間(DOR)、全生存期間(OS)、無イベント生存期間(EFS)、FFS、非再発死亡率、安全性などを評価した。28日時点での不応例ではクロスオーバーが許容されている。統計解析にはKaplan-Meier法および層別Coxモデルが用いられ、クロスオーバーの影響や予後因子の影響を調整した追加解析も実施されている。

ステロイド抵抗性の定義:カルシニューリン阻害剤の併用有無にかかわらず、高用量全身性グルココルチコイド療法を少なくとも3日間実施した後の臓器評価に基づくGVHDの進行、7日後の無反応(部分奏効以上の反応が認められない状態)、またはグルココルチコイド減量中の治療失敗と定義された (すなわち、メチルプレドニゾロン用量を体重1kg当たり1日2mg以上[またはプレドニゾン換算で1日2.5mg以上]に増加させること、またはメチルプレドニゾロン用量を体重1kg当たり1日0.5mg未満[またはプレドニゾン換算で1日0.6mg未満]に減量できない状態が最低7日間持続すること)。

BAT:無作為化時に研究責任者が以下の選択肢から選択した:抗胸腺細胞グロブリン、体外光線療法、間葉系幹細胞、低用量メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、哺乳類ラパマイシン標的(mTOR)阻害剤(エベロリムスまたはシロリムス)、エタネルセプト、またはインフリキシマブ。

Key findings

ルキソリチニブ群はBAT群と比較して、FFS中央値を有意に延長した(4.86ヶ月対1.02ヶ月、P < .001)。
OS中央値はルキソリチニブ群で10.7ヶ月、BAT群で5.8ヶ月、EFS中央値はそれぞれ8.3ヶ月、4.2ヶ月であり、いずれも数値上はルキソリチニブ群で良好な傾向であった。
累積のDOR中央値についても、ルキソリチニブ群が167日に対し、BAT群は106日と長かった。
慢性GVHDの累積発現率はルキソリチニブ群で33.8%、BAT群で21.9%であり、12ヶ月以降でルキソリチニブ群の方が数値として高かったが、その多くは軽症であった。
安全性プロファイルは前述の先行報告と一貫しており、長期曝露に伴う新たな懸念は認められなかった。

Clinical perspective

本研究は、SR-aGVHDに対するルキソリチニブのベネフィットが24ヶ月という長期追跡においても、特にFFSの有意な改善として維持されることを臨床試験データとして示した。
本結果はステロイド抵抗性症例に対する標準的な二次治療としてのルキソリチニブの使用をより支持するものである。
本試験はOSの有意差を検出するための設計ではないことや、慢性GVHDの発現傾向についてはさらなる検討を要するという制限はあるが、患者のQOL改善を含めベネフィット・リスクバランスは良好であると判断される。