Sehn LH, Hübel K, Luminari S, et al. Tafasitamab, lenalidomide, and rituximab in relapsed or refractory follicular lymphoma (inMIND): a global, phase 3, randomised controlled trial. Lancet. 2026;407(10524):133-146. doi:10.1016/S0140-6736(25)01778-7
Why this paper matters
再発・難治性濾胞性リンパ腫(R/R FL)に対し、標準治療であるレナリドミド+リツキシマブ(R2)療法に抗CD19抗体タファシタマブを上乗せする有効性を検証した初の第3相試験である。POD24や抗CD20抗体抵抗性といった高リスク群を含む広範な患者背景において無増悪生存期間(PFS)を有意に改善しており、新たな標準治療の選択肢としての可能性を示している。
Study overview
濾胞性リンパ腫は再発を繰り返す疾患であり、治療回数を重ねるごとに予後が悪化するため、新たな治療選択肢が求められている。
本研究は、Fc修飾モノクローナル抗体タファシタマブを、既存の免疫療法であるR2療法に併用する有効性と安全性を検証することを目的とした。
CD19はB細胞の増殖やシグナル伝達の主要なメディエーターであり、濾胞性リンパ腫を含むほとんどのB細胞悪性腫瘍で広く発現している。リツキシマブなどの抗CD20抗体治療は、腫瘍細胞のCD20発現を低下させ、耐性の一因となることがあるが、CD19は抗CD20抗体治療後の再発・難治性症例においても有望な標的となる。
タファシタマブはヒト化抗体であり、さらにFc領域が改変(Fc-enhanced)されている。このFc領域の強化により、直接的な細胞毒性を誘発するだけでなく、ナチュラルキラー(NK)細胞やマクロファージによる免疫介在性の抗腫瘍メカニズムを増強するように設計されている。
タファシタマブとレナリドミドの併用療法は、L-MIND試験の結果に基づき、自家幹細胞移植の対象とならない再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を有する成人患者の治療にFDAでは承認されている。
北米、欧州、アジア太平洋地域の210施設で実施された国際共同、二重盲検、ランダム化プラセボ対照第3相試験(inMIND)であり、対象は抗CD20抗体を含む1ライン以上の全身治療歴がある18歳以上のR/R FL(グレード1-3A)患者548名とした。
被験者はタファシタマブ+R2群(273名)またはプラセボ+R2群(275名)に1:1で割り付けられ、POD24の有無、抗CD20抗体への抵抗性(少なくとも4回以上の抗CD20抗体投与を含む治療中に、あるいはその後に病勢が進行)、前治療ライン数で層別化された。
主要評価項目はITT集団における治験責任医師判定による無増悪生存期間(PFS)と設定された。
174件のイベント発生時に、両側5%の有意水準、検出力80%で15%の脱落率などを考慮しハザード比0.65を検出するよう設計された。これらの条件を満たすために、15%の脱落率などを考慮した結果、最終的に528名のFL患者を登録・ランダム化する必要があると算出された。
Key findings
中央値14.1ヶ月の追跡期間において、タファシタマブ+R2群はプラセボ+R2群と比較して病勢進行、再発または死亡のリスクを57%有意に低下させた(ハザード比 0.43 [95% CI 0.32-0.58]、p < 0.0001)。
中央値でのPFSはタファシタマブ群で22.4ヶ月であったのに対し、プラセボ群では13.9ヶ月であり、この優越性はPOD24や抗CD20抗体抵抗性患者を含むすべてのサブグループで一貫していた。
全奏効率(ORR)はタファシタマブ群で84%、プラセボ群で72%であり(p = 0.0014)、PET評価による完全代謝奏効(PET-CR)率もそれぞれ49%と40%(p = 0.029)と、タファシタマブ群で有意に高かった。
安全性については、両群ともに99%の患者で有害事象が報告され、主な事象は好中球減少症(49%対45%)および下痢(38%対28%)であった。
グレード3または4の有害事象の発現率は両群で同程度であり、タファシタマブの上乗せがレナリドミドやリツキシマブの投与継続を妨げることはなかった。
Clinical perspective
本研究では、抗CD19抗体と抗CD20抗体という2つの非抱合型モノクローナル抗体を併用するアプローチの有効性を大規模な第3相試験で初めて検証している。
既存のR2療法の承認に至ったAUGMENT試験ではリツキシマブ抵抗性の患者は除外されているが、本試験には抗CD20抗体抵抗性患者やPOD24症例、腫瘍量の多い症例が高頻度に含まれており、実臨床に近い高リスク集団でベネフィットが示されている。
対照群(プラセボ+R2)において、抗CD20抗体抵抗性がない患者のPFS中央値は18.2ヶ月であったのに対し、抵抗性がある患者では8.6ヶ月と半分以下にまで低下しており、抵抗性集団に対しても、CD19を標的とするタファシタマブを上乗せすることで、PFSを大幅に改善できる(HR 0.44)ことが分かった。
入院を必要としない外来診療でも実施可能な有力な選択肢となる。
今後は、5年間の追跡調査によるOSの最終解析、およびタファシタマブ投与後のCD19発現状況の解析により、後続治療の最適化に向けた知見が得られることが期待される。
本邦においても2025年12月に再発又は難治性の濾胞性リンパ腫に対してミンジュビ®(タファシタマブ) はリツキシマブおよびレナリドミド併用による製造販売承認を取得した。


