高齢者進行期古典的ホジキンリンパ腫に対するPETガイド下BrECADD療法の有効性と安全性の検討:GHSG HD21試験第二相2コホート

高齢者進行期古典的ホジキンリンパ腫に対するPETガイド下BrECADD療法の臨床試験 Recent Papers

Ferdinandus J, Kaul H, Fosså A, et al. Positron Emission Tomography-Guided Brentuximab Vedotin, Etoposide, Cyclophosphamide, Doxorubicin, Dacarbazine, and Dexamethasone in Older Patients With Advanced-Stage Classic Hodgkin Lymphoma: A Prospective, Multicenter, Single-Arm, Phase II Cohort of the German Hodgkin Study Group HD21 Trial. J Clin Oncol. 2025;43(27):2974-2985. doi:10.1200/JCO-25-00439

Why this paper matters

進行期古典的ホジキンリンパ腫の高齢患者は、若年者に比して予後が不良であり、強力な化学療法の毒性と治療強度の維持のバランスが臨床上の課題となっている。本研究は、若年者で優れた治療成績を示したBrECADD療法が、適切な用量調節プロトコルを用いることで75歳までの高齢者においても高い完遂率と良好な無増悪生存率を両立し得ることを示しており、高齢者診療における強力な治療選択肢としての妥当性を裏付けている。

Study overview

進行期古典的ホジキンリンパ腫(advanced stage classic hodgkin lymphoma: AS-cHL)の若年患者では強力な化学療法により高い治癒率が得られるが、高齢患者では併存疾患の影響でeBEACOPPなどの強化療法が困難な場合が多く、治療成績の向上が未解決の課題であった。 ブレンツキシマブ ベドチンはCD30モノクローナル抗体にベドチンを結合した抗体薬剤複合体であり、ECHELON-1のABVDに対する優位性を持って承認されたが、60歳以上に関してはPFSを改善しないどころか末梢神経障害の増加が問題となり、高齢者においては非常に使いづら(https://doi.org/10.3324/haematol.2021.278438)。

本研究は、ドイツホジキン研究グループ(GHSG)による国際的なHD21試験の一環として実施された、61歳から75歳の初発AS-cHL患者を対象とする単群オープンラベルの第II相コホート研究である。
治療はブレンツキシマブ ベドチン、エトポシド、シクロホスファミド、アドリアマイシン、ダカルバジン、デキサメタゾンを組み合わせたBrECADD療法を用い、2サイクル終了後のPET/CT(PET2)の結果に基づいて総サイクル数を決定した(PET2陰性のDeauville 1-3は計4サイクル、PET2陽性は計6サイクル)。
主要評価項目は化学療法終了時の施設中央判定による完全奏効(CR)率とし、事前に定義された毒性基準に基づく用量調節スキームを適用することで治療の完遂性と有効性が検証された。

投与スケジュールとサイクル数

  • 1サイクルの期間: 21日間
  • PET2によるサイクル数決定: 2サイクル終了後にPET/CT(PET2)を実施し、その反応に応じて総サイクル数を決定する。
        ◦ PET2陰性(Deauvilleスコア 1–3): 合計4サイクルで治療を終了する。
        ◦ PET2陽性: 合計6サイクルまで治療を継続する。

用法・用量

  • 開始用量: すべての患者は、規定用量である「Dose Level 4 (DL4)」から治療を開始する。
  • アドリアマイシン(ドソルビシン): 1サイクルあたり40 mg/m²が投与される(PET2陰性で4サイクル完遂した場合の累積投与量は160 mg/m²)。
  • 用量調節: 関連する毒性(重度、持続的、または繰り返す毒性)が認められた場合、あらかじめ定義された基準に従って段階的に用量レベル(DL3、DL2、DL1)を減量、または治療を延期する。本研究の高齢者コホートでは、治療の完遂率を高めるためにこれらの用量調節が積極的に活用された。
  • 支持療法: 好中球減少症を予防するため、G-CSF(顆粒球コロニー形成刺激因子)の一次予防的投与が必須とされている。また、好中球減少期間中のキノロン系抗菌薬による予防も推奨されている。

Key findings

解析対象となった83名(年齢中央値67歳)のうち、60%にあたる48名がPET2陰性により4サイクルの治療に割り振られ、全体として89%の患者が予定されたサイクル数を完遂した。
主要評価項目である化学療法終了時の中央判定CR率は82%(95% CI, 72-90)に達し、PET2陰性群では94%と非常に高い奏効率を示した。
生存解析では2年無増悪生存率(PFS)が91.5%(95% CI, 85-98)、2年全生存率(OS)が90.8%(95% CI, 84-98)と良好な結果が得られた。
毒性面では、グレード3以上の白血球減少(96%)や発熱性好中球減少症(55%)などの血液毒性が頻発したものの、治療に関連した死亡は認められず、用量調節により管理可能であった。
健康関連QOLスコアはベースラインで低下していたが、フォローアップ期間中に改善し、1年から2年以内に一般人口の参照値に近づいた。

Clinical perspective

本研究は、若年者で標準治療の一つとなりつつあるBrECADD療法が、高齢者においても規定の用量調節を行うことで高い完遂率と若年者に匹敵する治療成績を達成できることを実証した。
これは、ニボルマブ併用療法(N-AVD)などの最新の選択肢と比較しても、治療期間の短縮やアントラサイクリン累積投与量の低減が図れる点で臨床的意義が大きい。
研究の限界として、比較的全身状態が良好な高齢者が選別されている可能性(選択バイアス)があり、CIRS-Gスコアなどによる背景因子の考慮が必要である。
今後は、チェックポイント阻害薬を含むレジメンとの使い分けを最適化するための、さらなる精度向上のための個別化アプローチが期待される。