Krasnow N, Maurer K, Song C, et al. Measurable residual disease detection after CAR-T may predict response in patients with large B-cell lymphoma. Blood Adv. 2025;9(21):5539-5545. doi:10.1182/bloodadvances.2024015788
Why this paper matters
CAR-T細胞療法後の長期寛解率は約40%に留まり、早期に治療失敗のリスクが高い患者を特定する手法が求められている。
本研究は超高感度なctDNA測定法を用いることで、輸注後1週間という極めて早い段階で、画像診断よりも正確に長期予後を予測できる可能性を示した点で臨床的意義が大きい。
Study overview
CD19標的CAR-T細胞療法は再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫の治療を大きく変えたが、依然として 最大40%以上の症例が最終的に再発に至るため、早期の治療介入に向けた予後予測マーカーが必要とされている。三分の一の症例がCAR-T細胞療法後1ヶ月時点でCRに入るもののPDに至るとされ、このような患者を高感度に特定出来ることも必要である。
本研究では、ppm(parts-per-million, 100万分の1)レベルのctDNAを検出可能な腫瘍由来変異情報を利用した超高感度なMAESTRO-Poolアッセイを用い、axicabtagene ciloleucel(axi-cel)投与後の微小残存病変(MRD)検出の有用性を評価した。
解析対象は2018年から2022年の間に同施設でaxi-cel投与を受けた28例(12か月時点での持続的奏効群(CRもしくはPRを12カ月維持)15例、非奏効群(12ヶ月より前にSD or PDの判定をFDG-PET/CTで受けた)13例であり、輸注前(day 0)および輸注後1、2、4週などの複数時点で血漿サンプルを回収した。
評価項目は、ctDNAの動態とLugano分類に基づくPET/CTでの治療反応(12か月時点の転帰)との相関であり、ROC曲線を用いた治療反応予測能評価が実施された。
Key findings
輸注後1週間の時点で奏効群では非奏効群と比較して顕著なctDNAの減少(中央値5.90倍の低下)が認められたのに対し、非奏効群ではctDNAが増加(中央値2.96倍の上昇)する傾向にあり、両群間に有意差を認めた(P < .001)。
輸注後2週および4週においても、奏効群のctDNAレベルが0 ppmに近づく一方で非奏効群ではctDNAが持続的に検出された(各P < .001)。
特に輸注後2週時点のctDNAレベルは、12か月時点での持続的奏効を予測する強力な指標となり、その曲線下面積(AUC)は0.97と極めて高い値を示した。
また、初回PET/CT(1か月時)で部分奏効(PR)と判定された症例のうち、後に完全奏効(CR)に移行した例では早期のctDNA消失が確認されたが、後に病勢進行(PD)に至った例ではctDNAが減少せず、画像診断よりも正確に長期的な転帰を反映した。
Clinical perspective
本研究の新規性は、ppmレベルの超高感度な腫瘍特異的変異シーケンスを用いることで、輸注後わずか1週間という早期段階でのMRD評価を可能にした点にある。
PET/CTによる判定を待たずに治療失敗のリスクを把握できることは、 salvage療法などの追加治療を早期に検討するための重要な指標となる可能性がある。
本研究は小規模な単施設の後ろ向きコホートに基づくものであり、結論を確定させるにはさらなる検証を要するという制限がある。
今後は、より大規模な症例群を用いた前方視的な研究により、ctDNA検出に基づく予後予測の臨床的有用性を確立することが期待される。


