Zucca E, Ceriani L, Ciccone G, et al. Impact of immunochemotherapy regimens on outcomes of patients with primary mediastinal B-cell lymphoma in the IELSG37 trial. Blood. 2025;146(23):2758-2764. doi:10.1182/blood.2025028823
Why this paper matters
原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)において、標準治療の一つとされるR-CHOP21療法が他の強化療法と比較して治療完遂時の代謝的反応の質を低下させ、不完全な反応を示すDeauville Score(DS)5の割合を有意に高めることを本研究は示している。
生存率に有意差は認められなかったものの、不完全な初期反応は不必要な追加治療や放射線治療の実施、それに伴う毒性リスクの増大に直結するため、PMBCLの初回治療におけるレジメン選択の重要性を再考させる重要な知見である。
Study overview
PMBCLは若年層に多く発症する生物学的に独特な疾患であり、地固め放射線治療(RT)の省略が可能かどうかが長年の課題であったが、IELSG37試験により完全代謝奏効(DS 1-3)が得られた症例ではRTを省略可能であることが既に示されている。
本研究では、このIELSG37試験に登録された545名を対象に、地域の慣行に基づき選択された異なる初回免疫化学療法レジメンが治療終了時のPET反応および長期予後に与える影響を事後解析した。
主な解析対象はR-CHOP21、R-CHOP14、DA-EPOCH-R、およびR-VACOP/MACOP-Bなどの強化療法であり、年齢、性別、国際予後指標(IPI)、パフォーマンスステータスで調整した多変量解析を用いてPET反応、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を評価した。
統計学的には、DS 5の発生率に関する相対リスク比(RRR)を多項ロジスティック回帰モデルで算出し、生存曲線はカプランマイヤー法およびCox比例ハザードモデルを用いて比較している。
Key findings
治療終了時の完全奏効(DS 1-3)率にレジメン間で有意差はなかったが、DS 5の発生率はR-CHOP21群で23.8%に達し、他のレジメンの平均8.2%と比較して有意に高かった(P < .001)。
多変量解析の結果、R-CHOP21は強化療法と比較してDS 5を呈するリスクが2.65倍(95% CI 1.20-5.86)高く、治療後のSUVmax減少率が70%に達しない割合も他のレジメンより有意に高かった。
生存分析においては、5年PFSおよび5年OSのいずれもレジメン間で統計学的な有意差は認められなかったが(R-CHOP21の5年PFS 87.6% vs 他のレジメン 91.2%; P = .245)、DS 5を呈した患者の96%が追加の全身療法やRTを必要とし、最終的な転帰も不良であった。
Clinical perspective
本研究の新規性は、PMBCLにおいてR-CHOP21が他のレジメンと比較して代謝的完全奏効を逃すリスクが高く、結果として「計画外の救済治療」を招く可能性を大規模データで裏付けた点にある。
生存率に差が出なかった要因として、DS 5と判定された症例に対して迅速かつ強力な救済療法が実施されたことで予後の差が相殺された可能性があり、研究自体が生存率の差を検出する統計学的検出力を欠いていた点には注意を要する。
臨床的には、若年患者の多い本疾患において二次発がんや臓器障害を避けるための「RT省略」を確実にするには、R-CHOP21よりもDA-EPOCH-RやR-CHOP14などの治療強度あるいは密度を高めたアプローチが推奨される。


