Kampouri E, Flaherty P, Xie H, et al. The impact of CMV reactivation on mortality after chimeric antigen receptor T-cell therapy. Blood Adv. 2025;9(12):2997-3001. doi:10.1182/bloodadvances.2024015164
Why this paper matters
CAR-T細胞療法後のサイトメガロウイルス(CMV)再活性化は臨床上頻見されるが、その予後への長期的影響は十分に解明されていない。本研究は、先制治療が普及した現代の診療環境下においても、CMV再活性化が1年生存率に及ぼす潜在的な悪影響をきたす可能性があり、予防戦略の最適化の重要性を示している。
Study overview
同種造血幹細胞移植領域では、CMV再活性化が死亡率上昇に寄与する間接的影響が知られているが、CAR-T細胞療法における系統的な検証は限定的である。
CAR-T細胞療法においても輸注後2−6週でCMV再活性化は30-60%、昨今の臨床試験におけるアウトカムとして用いられる臨床的に重要なCMV(clinically significant CMV (csCMV))は10-20%に見られるとする報告がある。
著者らFred Hutchinson Cancer CenterのCD19およびBCMA–CARTxの報告では72例のCMV血清陽性患者を12週までweekly monitoringを行い、積算発生率27%、リスクとして3日より長いコルチコステロイドの使用とBCMA-CARTxが抽出された。
同種移植と同様にCAR-T細胞療法と死亡率上昇の関連についての研究もあり、同様に予防・先制治療戦略を要することが示唆されている。Linら、Khawajaら
本研究は、Fred Hutchinson Cancer CenterにてCD19、CD20、またはBCMAを標的とするCAR-T細胞療法を受けたCMV抗体陽性の成人患者84名を対象とした前向きコホート研究である。
リンパ球除去化学療法前およびCAR-T細胞投与後12週間、週1回の定量PCR法によるCMVモニタリングを実施した。
主要評価項目は投与後6週時点までCMV再活性化が起こった群と起こらなかった群に振り分けたランドマーク解析による1年全生存率(OS)とし、製品標的やサイトカイン放出症候群の重症度、副腎皮質ステロイドの使用などの交絡因子を調整した多変量Cox比例ハザード回帰モデルを用いて解析した。
CMV再活性化は血漿でのCMV DNAの任意のレベルでの検出、またはcsCMVと定義した。
Key findings
検討された89件のCAR-T細胞投与のうち、25%(22件)でCMV再活性化が認められ、施設ガイドラインの先制治療開始基準である150 IU/mL以上の再活性化は9%(8件)であった。
再活性化までの期間の中央値は23日であり、全症例においてCMV臓器障害の発症は認められなかった。
1年生存率は、CMV再活性化のない群で76.8%(95% CI 61.0-86.9)であったのに対し、再活性化を認めた群では65.0%(95% CI 34.1-84.2、HR 1.74、P=0.23)であった。
特に150 IU/mL以上の再活性化を認めた群では1年生存率が57.1%(95% CI 9.3-87.6)とさらに低く、調整後ハザード比は2.42(95% CI 0.69-8.47、P=0.17)と死亡リスクの上昇傾向が示されたが、統計的な有意差には至らなかった。
Clinical perspective
本研究はサイトメガロウイルス再活性化がCAR-T細胞療法後の全生存率低下に関与する可能性を、前向きな週モニタリングを通じて提示した。
この傾向は、臨床的に有意な感染が非再発死亡率の上昇と独立して関連すると報告した前述の先行研究や、早期の再活性化が死亡率の上昇に関連するとした報告とも合致する。
本研究では小規模なサンプルサイズが少なく、CAR-T製品の種類、重症の免疫関連合併症、副腎皮質ステロイドの使用を用いた多重回帰を用いているが、再活性化する背景のある患者の死亡率が高かったという可能性を否定するものではない。
著者らは、CMVが直接死因にならなくても、CMVの増殖自体が免疫機能の回復を遅らせ、他の感染症リスクを増大させるといった間接的影響を及ぼしている可能性を指摘している。これは、造血幹細胞移植においても指摘されている事象である。
今後は、CMVが免疫学的回復の遅延や他系統の感染症リスク増大に及ぼす間接的影響を、より大規模な集団で検証し、適切な先制治療の閾値を策定することが求められる。


