R-CHOP後に完全寛解を得た高リスクDLBCLに対するアテゾリズマブ地固め療法の第2相試験(HOVON 151)

高リスクDLBCLに対するアテゾリズマブ地固め療法の第2相試験HOVON 151 Recent Papers

Nijland M, Issa DE, Bult JAA, et al. Atezolizumab consolidation in patients with high-risk diffuse large B-cell lymphoma in complete remission after R-CHOP. Blood Adv. 2025;9(14):3530-3539. doi:10.1182/bloodadvances.2024015226

Why this paper matters

R-CHOP療法後に完全代謝寛解(CMR)を得た高リスク弥漫性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者は依然として20〜25%の再発リスクを抱えており、有効な地固め療法の確立が急務である。本研究は、抗PD-L1抗体アテゾリズマブを用いた地固め療法が、ヒストリカルコントロールを上回る無病生存率(DFS)と極めて良好な全生存率(OS)を示したことを報告しており、再発抑制に向けた新たな選択肢となる可能性がある。地固め療法後の再発例においても救済化学療法への良好な反応が維持されており、長期予後改善の観点から臨床的に意義がある。

Study overview

標準的なR-CHOP療法でCMRに達したものの、国際予後指標(IPI)スコアが3以上の再発高リスクDLBCL患者を対象に、微小残存病変(MRD)の根絶を目指したアテゾリズマブ地固め療法の有効性と安全性を検証した非ランダム化第2相試験である。
109名の患者に対し、R-CHOP終了後8〜12週以内にアテゾリズマブ(1200mg、3週毎、最大18サイクル)を開始し、主要評価項目を2年DFS(目標値をヒストリカルコントロールの79%(過去データに基づく期待値→閾値に設定)から89%に設定(ハザード比0.49相当))に設定し、サンプルサイズを算出した(109名)。
ITT集団を対象とし、カプラン・マイヤー法による生存率算出に加え、オランダがん登録(NCR)データを用いた傾向スコアマッチング(1:1)による対照群とのOS比較を実施している。

Key findings

中央値36.4カ月の追跡において、主要評価項目である2年DFSは87.9%(90% CI: 81.5-92.1)であり、事前に設定された有効性の基準を達成した。
2年OSは96.3%と極めて高く、NCRの対照群と比較した3年OSにおいても、アテゾリズマブ群が96%、対照群が87%と有意な改善を認めた(P=0.02)。
安全性に関しては、79%の患者に有害事象が認められたが、その多くはグレード2以下であり、免疫関連副作用(irAE)の発現率は18.3%(グレード3〜4は4.5%)と管理可能な範囲であった。
地固め療法中に再発した症例においても、救援化学療法を受けた13名のうち10名(77%)が再びCMRに到達しており、チェックポイント阻害薬が次治療への感受性を高めた可能性が示唆されている。
再発が確認された10名の患者のうち、R-CHOP治療終了直後の時点でがん由来DNA(ctDNA)によるMRD陽性と判定されたのは、1名(10%)のみであった。

Clinical perspective

本研究は、高リスクDLBCLの初回治療終了後のMRD制御において、PD-L1阻害薬がDFSの改善のみならず、救援療法の奏効率向上を介して顕著なOSベネフィットをもした可能性がある。
レナリドミドによる維持療法ポラツズマブ ベドチンの併用といった既存の戦略ではOSの有意な改善が示されてこなかった中で、今回の良好な生存成績は注目に値する。
後に再発した患者のほとんどにおいて、地固め療法開始前の時点では血液中のctDNAが検出できておらず、MRDモニタリングにおいては評価困難であった。今回使用されたclonoSEQアッセイの感度では、PET-CTで完全寛解(CMR)と判定された後の微量な残存病変を捉えきるには不十分であった可能性がある。
新たな技術として「フェーズド・バリアント(同じDNA断片上の近接した位置に存在する複数の変異)」を標的としたシーケンシング技術が、ctDNAによるMRD検出の感度を大幅に向上させる可能性について言及されている。
今後の展望として、アテゾリズマブとグロフィタマブの併用(NCT03533283)や、CAR-T細胞療法との組み合わせ(NCT02926833)といった、より高度な免疫療法との統合による検証が進められている。