Budde LE, Zhang H, Kim WS, et al. Mosunetuzumab Plus Polatuzumab Vedotin in Transplant-Ineligible Refractory/Relapsed Large B-Cell Lymphoma: Primary Results of the Phase III SUNMO Trial. J Clin Oncol. 2025;43(36):3799-3811. doi:10.1200/JCO-25-01957
Why this paper matters
この研究は、移植非適応の再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫患者に対し、二重特異性抗体モスネツズマブと抗体薬物複合体ポラツズマブ ベドチンの併用療法が標準的な化学療法であるR-GemOxを大幅に上回る有効性と安全性を示したものである。入院を必要としない外来通院での投与が可能な固定期間治療として、従来の化学療法に依存しない新たな治療選択肢を提示した点は臨床的に大きな意義がある。
Study overview
初回治療に抵抗性または再発を示した大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)において、自家造血幹細胞移植非適応例に対する治療成績は依然として悪い。近年、二次治療として自家移植に加えCAR-T細胞療法が治癒を目指せる治療として行われるようになったが、これらの治療適応のある患者の75%が治療に到達せず、緩和的治療を行わざるを得ないという現実がある。R-GemOx療法を含む救援化学療法に代わる有効な選択肢が求められている。
本試験では、CD20×CD3二重特異性抗体であるモスネツズマブと、CD79bを標的とする抗体薬物複合体ポラツズマブ ベドチンの併用(Mosun-Pola)が、相乗的な抗腫瘍効果(ポラツズマブ ベドチンが悪性B細胞上のCD20発現を増加させ、T細胞依存性細胞傷害活性を活性化することによりモスネツズマブの作用を増強)により予後を改善するという仮説を検証した。
第III相国際共同無作為化比較試験であるSUNMO試験では、移植非適応の再発・難治性LBCL(DLBCL, NOS, high-grade B-cell lymphoma (NOS or double-/triple-hit), FL grade 3b, transformed FL)患者208名を対象とし、Mosun-Pola群(138名)とR-GemOx群(70名)に2:1の割合で割り付けた。
Mosun-Pola群ではモスネツズマブを皮下投与(21日1サイクル、初回サイクル1日目5mg、8日目と15日目に45mg投与、2~8サイクルの1日目に1日1回45mg投与)し、ポラツズマブ ベドチン静注投与(21日1サイクル、1.8 mg/kgを1日1回、第1~6サイクルの1日 目投与)した。主要評価項目は中央判定による客観的全奏効率(ORR)および無増悪生存期間(PFS)、重要な副次評価項目に設定され、統計解析には層別コクラン・マンテル・ヘンツェル検定および層別ログランク検定が用いられた。
Key findings
中央値23.2カ月の追跡期間において、主要評価項目であるPFSの中央値はMosun-Pola群で11.5カ月、R-GemOx群で3.8カ月であり、Mosun-Pola群で病勢進行または死亡のリスクが59%有意に減少した(ハザード比 0.41; 95% CI, 0.3-0.6; P < .0001)。
ORRはMosun-Pola群で70%(完全奏効率 51%)であり、R-GemOx群の40%(完全奏効率 24%)と比較して有意に高値であった。
副次評価項目である全生存期間の中央値はMosun-Pola群で18.7カ月、R-GemOx群で13.6カ月であり、現時点では統計学的な有意差には至っていない(ハザード比 0.80; P = .28)。安全性については、Mosun-Pola群におけるサイトカイン放出症候群(CRS)の発生率は26%であったが、そのほとんどがグレード1であり、グレード2以上は5%未満、グレード3は0.7%と極めて低頻度であった。
また、R-GemOx群と比較して、Mosun-Pola群ではグレード3以上の血小板減少(2.2% vs 36%)や末梢神経障害(24% vs 42%)の頻度が低く、患者報告アウトカムにおいても生活の質(QoL)の改善が認められた。
Clinical perspective
本研究は、従来の細胞毒性抗がん剤を含まない二重特異性抗体とADCの組み合わせのみによる治療が、第III相試験において標準的免疫化学療法に対する優越性を証明した点が非常に重要である。
また、Mosun-Pola療法は入院を必要とせず外来管理が可能な安全性を備えており、高齢や合併症により強力な集学的治療が困難な患者や、CAR-T細胞療法の実施に制限がある環境においても治療アクセスを拡大させるという重要役割を持つ。
本試験の結果は、先行するglofitamab併用療法と比較してもCRSリスクが低く、管理しやすい選択肢となるだろう。
本試験におけるLimitationとして、初回治療でポラツズマブ ベドチンを使用した症例やCAR-T細胞療法後(わずか8名(3.8%))の症例が少なく、これらの集団に対する有効性は今後の検討課題である。
今後は、これら先行治療歴を有する患者群への適用や、他の新規薬剤との最適な組み合わせに関する研究が進められる予定である。


