75歳以上の高齢者未治療びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するザヌブルチニブ、リツキシマブ、レナリドミド併用療法の有効性と安全性を評価する第2相試験

CAR-T療法後のctDNAによる治療反応予測研究 Recent Papers

Xu PP, Zhu Y, Shi ZY, et al. A phase 2 study of zanubrutinib in combination with rituximab and lenalidomide in de novo diffuse large B-cell lymphoma. Blood. 2025;146(21):2561-2573. doi:10.1182/blood.2025028649

Why this paper matters

標準的な化学療法に耐容性の低い75歳以上の高齢者未治療びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対し、化学療法を含まない3剤併用療法(ZR2:ザヌブルチニブ、リツキシマブ、レナリドミド)が高い有効性と良好な安全性を示した点である。
また、治療反応性が腫瘍の遺伝的特徴よりも、従来型の1型樹状細胞(cDC1)の活性化などの腫瘍微小環境に依存していることを解明し、長期寛解の機序にT細胞免疫記憶が関与している可能性を提示した点で重要である。

Study overview

高齢者DLBCLはMYD88やCD79B変異などの高齢者で増加する発がん性遺伝子変異や、細胞傷害活性の低下を伴う一方で消耗性T細胞が増加する免疫抑制的な腫瘍微小環境といった特有分子生物学的特徴を有する。R-miniCHOPは高齢者DLCBLにおいて頻用される標準治療の一つだが、その治療成績は十分とはいえず、合併症が多く特にそのような免疫化学療法不耐の状況においてはアンメットニーズが存在する。
本研究は、第2世代BTK阻害薬ザヌブルチニブ、抗CD20抗体リツキシマブ、免疫調節薬レナリドミドを組み合わせた化学療法を含まない「ZR2」療法が、遺伝的変異と微小環境の双方を標的として高齢患者の予後を改善するという仮説に基づいている。
研究デザインは単施設単群のオープンラベル第2相試験であり、対象は標準的な化学療法に不適またはフレイル(CGA(総合老年機能評価)スケールを使用)と判断された75歳以上の初発DLBCL患者40名である。

  • 導入療法(Induction phase): 21日を1サイクルとして6サイクル実施
        ◦ ザヌブルチニブ(Zanubrutinib): 160mg、1日2回、経口、連日投与
        ◦ リツキシマブ(Rituximab): 375mg/m²、静脈注射、第1日
        ◦ レナリドミド(Lenalidomide): 25mg、経口、第2-11日
  • 維持療法(Maintenance phase): 導入療法でCRまたはPRを達成した患者に対し、最長2年間継続
        ◦ レナリドミド: 25mg、経口、21日ごとの第1-10日
    主要評価項目は導入療法終了時(6サイクル後)の完全奏効(CR)率であり、一般的に第二相試験で用いられる倫理性を考慮した単群試験サイモン2段階設計を用いた。

Key findings

導入療法終了時のCR率は主要評価項目を達成する65.0%(95% CI, 48.3-78.9)であった。
生存期間に関する副次評価項目では、2年無増悪生存(PFS)率が67.1%(95% CI, 50.1-79.4)、2年全生存(OS)率が82.4%(95% CI, 66.5-91.2)に達した。
安全性については、グレード3および4の血液学的有害事象として好中球減少症が35.0%で最も多く認められた。
非血液学的有害事象では、ALT/AST上昇(12.5%)や肺感染症(12.5%)が主な事象であったが、ザヌブルチニブ使用で懸念される心房細動の発現は観察されなかった。
探索的解析の結果、ZR2の有効性は腫瘍細胞におけるHLA-I/II分子の高発現や、微小環境内のcDC1の数と機能強化に伴うT細胞のクローナルな増殖と相関しており、長期寛解者の末梢血中には治療3年後も特定のT細胞クローンが持続していた。

Clinical perspective

本研究の新規性は、中央値78歳の高齢患者層において、従来のR-miniCHOP療法(2年OS率約59%)を上回る可能性がある治療成績を化学療法フリーのレジメンで達成した点である。
化学療法を回避しつつ腫瘍微小環境を再構築することで、フレイルな高齢患者に治癒に近い状態を目指した治療選択肢を提供できる可能性を示した。
今後の展望として、本療法の有効性をさらに検証するための多施設共同前向きランダム化比較試験が現在進行中(NCT05179733; The Efficacy and Safety of ZR2 Versus R-miniCHOP in the Treatment of Unfit or Frail de Novo Diffuse Large B-cell Lymphoma Patients Aged Older Than or Equal to 70 Years)である。