晩期再発DLBCLに対するR-CHOP様療法による再治療:高齢・虚弱症例における有効性と5年以上の寛解維持の可能性

晩期再発DLBCLに対するR-CHOP様療法の再投与に関する臨床研究 Recent Papers

Champagne JN, Villa D, Gerrie AS, et al. Retreatment with R-CHOP-like therapy in patients with late relapse of diffuse large B-cell lymphoma. Blood Adv. 2026;10(3):620-626. doi:10.1182/bloodadvances.2025017620

Why this paper matters

DLBCLの晩期再発は化学療法感受性が維持されている可能性が示唆されてきたが、その標準的な再治療戦略は確立されていない。
本研究は、高齢や合併症のために強力な救援化学療法や自家移植が困難な症例において、初期治療で用いたR-CHOP様療法の再投与が長期的な疾患制御をもたらし得る現実的な選択肢であることを示した。

Study overview

DLBCLの再発は診断から2年以内に多く認められるが、最大10%程度に認められる2年以降の晩期再発は比較的良好な予後を辿ることが知られており、診断後24か月間無再発状態を維持した患者は、年齢および性別を一致させた一般集団と比較して、同様の全生存率を示すとした報告もある
最近の集団ベースの分子解析において、診断時と再発時の生検を比較した結果、遅発性再発生検は原発腫瘍と共有する変異は少ないものの、細胞起源(COO)および遺伝学に基づくサブグループに関しては高い一致率を維持することが示された。 これは、遅発性再発が実際には共通の前駆細胞から生じた新規発生のDLBCLを表しており、実質的に化学療法未治療の状態であるという理論を支持するものである。
このような患者層にはR-CHOP様療法の再投与が有効である可能性が考えられてきたが、これまでその成績は十分に評価されていなかった。
カナダのブリティッシュコロンビア州(BC)では、特に高強度治療が適さない症例において、遅発性再発DLBCL患者に対しR-CHOP類似の再治療戦略が頻繁に採用されてきた。
本研究はBC Cancerデータベースを用い、R-CHOPまたはR-CEOPによる初期治療後に2年以上経過して再発し、治癒目的で同系統のレジメンを再投与された症例を後方視的に解析したものである。
対象は65例で、再発時の年齢中央値は77歳、その多くがIPIスコア3〜5のハイリスク群であり、累積投与量を考慮してアントラサイクリンをエトポシドに置換したR-CEOPも適宜選択された。
主要評価項目はTime to Progression(TTP)に設定され、Kaplan-Meier法を用いて各生存指標が算出された。

Key findings

全奏効率は72%、完全奏効率は57%であり、高齢かつフレイルな集団においても高い奏効率が示された。
中央値31.4ヶ月の追跡期間において、全体での2年TTPは53.7%、2年全生存率は54.3%であった。
サブグループ解析において、診断から再発までの期間が結果を大きく左右することが明らかとなり、5年以上経過して再発した群の2年TTPが66.2%に達したのに対し、2〜5年で再発した群では9.3%に留まった(HR 0.30; 95% CI 0.14-0.64; P = .001)。
治療の忍容性については、61.5%の症例が予定された治療を完遂したが、16.9%は非特異的な毒性や不耐容のために治療を中断しており、感染症や心筋梗塞による治療関連死も報告されている。

Clinical perspective

本研究は、晩期再発DLBCLに対するR-CHOP様療法の再投与が、特に5年以上経過した症例において良好なアウトカムをもたらし得ることを臨床データとして初めて示したものである。
CAR-T療法や新規の二重特異性抗体などの選択肢が増加する中で、コストやリソースが限定される状況下や、強力な救援療法に耐えられない高齢者に対する「時間限定的(fixed dutation)かつ経済的な戦略」としての位置づけが明確になった。
本研究は後方視的解析であり症例選択のバイアスが含まれる可能性があること、また新規薬剤との直接比較がなされていないことが制限として挙げられる。
今後は、STARGLO試験などの新規治療と本戦略をどのように使い分けるべきか、前向きな検証が期待される。