Maurer MJ, Prochazka VK, El-Galaly TC, et al. FLIPI24: A Modern Prognostic Model and Clinical Trial Enrichment Tool for Newly Diagnosed Follicular Lymphoma. J Clin Oncol. 2026;44(2):117-128. doi:10.1200/JCO-25-00892
Why this paper matters
診断時にPOD24相当の高リスク群を同定可能な予後予測モデル「FLIPI24」は、濾胞性リンパ腫の予後予測精度を現行モデルより有意に向上させる。本モデルは、高リスク患者に対する早期の治療強化や臨床試験での使用、および低リスク患者における過剰治療の回避を可能にする重要な指標となる可能性がある。
Study overview
濾胞性リンパ腫(FL)は多くが緩徐な経過を辿るが、初回免疫化学療法から24ヶ月以内の再燃(POD24)を示す症例は極めて予後不良であり、診断時にこれら高リスク群を同定することは出来ないため、これらの患者層を特定することが臨床上の非常に重要である。
既存のFLIPIの歴史は古く、1985-1992年の間に発展したものであり、免疫化学療法時代の患者層を反映していない事から、その他新たにモデルが構築されてきたが精度が十分とは言えず、Groupe d’Etude des Lymphomes Folliculaires (GELF) クライテリアのような治療意思決定に使用されない。
本研究では10件の国際的な観察コホートから得られた4,485名の個別患者データを活用し、診断時に24ヶ月時点のイベント発生率を予測する新しいモデル「FLIPI24」を開発・検証した。
解析対象はリツキシマブ併用化学療法を受けた1-3A期の患者であり、モデル変数の選択では「日常臨床のワークアップでルーチンに行われる検査項目であること」「すべての臨床現場で容易に導入できること」「臨床的な有用性」を変数選択の決定的な基準とし、年齢、ヘモグロビン値、LDH、β2ミクログロブリン、白血球数の5項目を変数として採用している。
主要評価項目は24ヶ月無イベント生存(EFS24)および全生存期間(OS)とし、モデルの内部検証として合計4,485名の患者データのうち、3,577名を用いてモデル構築を行い、残りの908名を内部検証用データセットとして固定(lock)した上で、モデルのパフォーマンスを評価した。外部検証として、LEOコホートや複数の第III相試験(PRIMA、RELEVANCE、GALLIUM)のデータを用いて精度の検証が行われた。
Key findings
FLIPI24モデルは、従来のFLIPIやPRIMA-PIと比較してEFS24およびOSの両面で一貫して優れた識別能を示した。
外部検証データセットにおいて、FLIPI24高リスク群と判定された症例(全体の23-32%)の24ヶ月イベント発生率は22-35%であり、5年生存率は77-83%と有意に低かった。
対照的に、低リスク群(全体の29-31%)の24ヶ月イベント発生率は10-12%に留まり、5年生存率は96-97%と極めて良好な結果であった。
この層別化能は、維持療法の有無や化学療法の種類(ベンダムスチンまたはCHOP)に関わらず維持されており、リンパ腫関連死の予測においても高い有用性が確認された。
また、低腫瘍量で経過観察やリツキシマブ単剤治療が行われる症例においても、既存モデルを上回る予後予測能を維持していた。
Clinical perspective
本研究は、日常臨床で測定可能な血液指標のみを用いて、診断時点で将来のPOD24発生や長期生存を高い精度で予測を可能にしている。
これにより、低リスク患者には過剰治療を避けつつ良好な見通しを伝えることができる一方、高リスク患者には早期から新規治療薬の臨床試験への登録を検討するなどの層別化が可能となる。
骨髄生検や複雑なリンパ節領域のカウントを必要とせず、簡便に算出できる点は実臨床での普及に有利だが、今後導入される新規機序の薬剤を用いた初回治療における再検証が求められる。
内部検証としてホールドアウト検証を採用しているが、TRIPODガイドラインによれば一般的に推奨されず、 モデル開発と検証の両方で検出力不足を招く可能性があるとされています。一般的にはクロスバリデーションやブートストラップなどのリサンプリング法のような方法がoptimism補正のために推奨されている方法です。
今後は、本モデルで抽出された高リスク群を対象として、現在1st lineのとして多く使用されているObinutuzumabを用いた治療や、R2療法などのLenalidomide併用療法を超えるより強力な初回治療戦略を評価する臨床試験の加速が期待される。


