初発難治性急性骨髄性白血病におけるドナー型別の同種造血幹細胞移植成績:EBMTレジストリに基づく大規模比較解析

初発難治性AMLにおけるドナー型別の同種移植成績に関するEBMT大規模解析 Recent Papers

Barbullushi K, Labopin M, Kröger N, et al. Outcomes of allogeneic hematopoietic stem cell transplantation from different donor types in primary refractory acute myeloid leukemia: a report from the ALWP of the EBMT. Bone Marrow Transplant. 2026;61(2):149-158. doi:10.1038/s41409-025-02740-w

Why this paper matters

初発難治性急性骨髄性白血病(Primary refractory acute myeloid leukemia: prAML)は極めて予後不良な疾患であり、同種造血幹細胞移植が唯一の根治手段となるが、最適なドナー選択に関するエビデンスは十分ではない。
本研究は、近年の治療環境における大規模データに基づき、ドナー型が移植予後に与える影響を明らかにするものであり、迅速な移植実施が求められる臨床現場でのドナー選定において重要な知見である。

Study overview

prAMLに対する移植では適切なドナーの迅速な確保が最優先課題となるが、ハプロ一致移植を含む異なるドナー間の成績比較は未解決のままであった。
本研究は、欧州造血細胞移植学会(EBMT)のレジストリを用い、2015年から2020年に移植を施行した成人prAML(中用量シタラビンを含む強力な寛解導入療法を少なくとも2サイクル施行した後、完全寛解(CR)が得られない状態)患者1574例を対象とした後方視的解析である。
解析対象は血縁一致ドナー(MSD)521例、10/10一致非血縁ドナー(UD)540例、9/10不一致UD 153例、およびハプロ一致ドナー360例の4群に分類された。
主要評価項目を無白血病生存率(LFS)とし、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて、細胞遺伝学リスク、患者全身状態(KPS)、前処理強度などの共変量を調整した統計的評価を行った。

Key findings

2年LFSはMSD群35.2%、10/10 UD群37.6%、9/10 UD群35.2%に対し、ハプロ群では27%と有意に低値であった(p=0.003)。
全生存率(OS)についてもハプロ群は31.2%と、他の3群(40.9~45.7%)と比較して不良な結果であった(p=0.001)。
多変量解析の結果、MSDと比較してハプロ移植はLFS(HR 1.22、p=0.044)およびOS(HR 1.3、p=0.015)の悪化と有意に関連し、非再発死亡(NRM)のリスク上昇も認められた(HR 1.65、p=0.006)。
移植失敗の主因は依然として病勢進行であり、全症例の63.8%を占めていた。
一方で、強度減弱前処置(RIC)の採用は、骨髄破壊的前処理(MAC)と比較して良好なLFSと有意に関連していた(HR 0.85、p=0.031)。

Clinical perspective

本研究は、prAMLという難治な病態において、ハプロ移植が他のドナー型と比較して生存成績で劣ることを示した。
迅速な移植を優先してハプロ移植を選択する価値は認められるものの、可能な限りMSDまたはUDを優先すべきという現在の診療方針を支持する結果となっている。
PTCyを用いたハプロ移植がMSDやUDと同等の成績を示したとする報告もある一方で、本研究のように初発難治性という極めてハイリスクな集団においては、最新の手法(PTCy)を用いてもなお、ハプロ移植は他のドナー型に劣る可能性がある。
先行するASAP試験(https://doi.org/10.1016/s2352-3026(24)00065-6)では再発または初回寛解導入不応の高リスクAMLにおいて、 同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)前に高用量シタラビンを中心とした救援化学療法で完全寛解(CR)を目指すべきかそれとも寛解導入を待たずに、速やかに移植へ進むべきかについて検証された。
本解析においても診断から移植までの期間短縮が良好な予後に関連することが確認された。
研究の限界として、分子標的薬の併用状況や移植時の微小残存病変(MRD)データが不足している点が挙げられる。
今後は、RIC後のドナーリンパ球輸注や移植後維持療法といった、免疫学的効果を最大化し再発を制御するための早期介入戦略の確立が求められる。