大細胞型B細胞リンパ腫の治療終了時におけるPhasED-Seqを用いたctDNA-MRDの予後予測能

大細胞型B細胞リンパ腫の治療終結時におけるctDNA-MRD評価の予後予測能に関する研究 Recent Papers

Wang S, Nijland M, Strobbe L, et al. Prospective Validation of Circulating Tumor DNA Measurable Residual Disease After First-Line Therapy in Large B-Cell Lymphoma. J Clin Oncol. 2026;44(5):400-409. doi:10.1200/JCO-25-01712

Why this paper matters

大細胞型B細胞リンパ腫の治療終了時評価におけるPET-CTの陽性的中率の低さは、偽陽性による不要な侵襲的検査や患者の不安を招く臨床上の課題である。
本研究は、実臨床に近い前向きコホートにおいて、超高感度なctDNA-MRD測定がPET-CTの診断能を補完し、再発リスクの高い症例を正確に抽出可能であることを実証している。

Study overview

治療終了時のPET-CT評価は、炎症等による非特異的集積により陽性的中率が不十分であるため、より精緻な微小残存病変(MRD)評価法が求められていた。
オランダの46施設で実施された前向きコホート研究HOVON-902において、初回治療を完了した大細胞型B細胞リンパ腫患者134例を対象に、PhasED-Seq技術を用いた治療終了時ctDNA-MRDの予後予測能を検討した。
主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)とし、ベースラインの国際予後指標(IPI)やPET-CTによる判定結果との比較、および多変量解析による独立性の評価を実施した。

Key findings

治療終了時において、患者の17%がctDNA-MRD陽性であり、3年PFSはMRD陽性群で17%、陰性群で85%(HR 9.8, 95% CI 5.1-19, P=9.63×10^-12)、3年OSは陽性群で43%、陰性群で92%(HR 7.7, 95% CI 3.4-17.4, P=1.27×10^-6)であった。
多変量解析において、ctDNA-MRDはIPIやPET-CTから独立した予後因子であることが確認された。
2年PFSに対する陽性的中率は、ctDNA-MRD(68%)がPET-CT(56%)に比して有意に高く(P<0.001)、陰性的中率は両者で同等であった(89%対88%)。
PET-CTで完全代謝奏効(CMR)と判定された群においても、MRD陽性例の3年PFSは44%と、陰性例の88%と比較して有意に低値であった(HR 5.4, P=3.69×10^-4)。

Clinical perspective

実臨床における初回治療後の予後層別化において、ctDNA-MRDがPET-CTの限界を補完し、特に偽陽性の除外に寄与し得ることを示した意義は大きい。
現行のNCCNガイドラインでもPET陽性かつ生検困難時の代替案としてctDNA検査の検討が言及されているが、本成果はその臨床適用を強く支持するものである。
ただし、本研究は観察研究であり、検出されたMRD陽性例に対する介入が転帰を改善するかについては、ALPHA3試験等の介入試験による検証を待つ必要がある。
ALPHA3試験はLBCLを対象に、初回治療後の微小残存病変(MRD)陽性例に対する介入を検証する初のランダム化オープンラベル第2相試験であり、標準的な初回免疫化学療法により画像上の奏効が得られたものの、超高感度なPhasED-Seq技術を用いたctDNA検査でMRD陽性と判定された、再発リスクの極めて高い患者群を対象としている。既製型(off the shelf)同種CAR-T細胞療法であるcemacabtagene ansegedleucel (cema-cel)を地固め療法として投与し、標準的な観察群と比較している。
検体の保存条件による感度への影響や、晩期再発を捕捉するための継続的なモニタリングの在り方も今後の課題である。