Why this paper matters
再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫(r/r LBCL)に対するtisagenlecleucelの5年を超える長期予後を明らかにした本解析は、本療法が一部の患者において持続的な治癒をもたらす可能性を強固にした。
特に、奏効を得た患者の約6割が5年時点でも再発していないという結果は、三次治療以降におけるCAR-T細胞療法の臨床的価値を裏付ける極めて重要な指標である。
Study overview
2ライン以上の前治療後に再発または難治性となった成人LBCL患者は極めて予後不良であり、治療効果が得られたとしてもその効果の持続性が課題であった。
本研究は、国際共同第II相群試験であるJULIET試験の5年フォローアップ解析であり、tisagenlecleucelを投与された115例を対象としている。
主要な評価項目は奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)であり、Kaplan-Meier法を用いて算出された。
また、長期的なCAR-T細胞の持続性や、ベースラインの腫瘍および免疫バイオマーカーと予後の関連についても探索的な解析が行われた。
本試験を完了した患者は、さらに10年間の長期フォローアップを行うPAVO試験への移行が可能となっている。
Key findings
中央値74.3カ月の追跡において、全奏効割合は53.0%、完全奏効割合(CR)は39.1%であり、初期に部分奏効(PR)であった19症例がCRへ移行し、15例(78.9%)が投与6カ月以内にCRへと移行した。
奏効例(BOR)における5年時点の非再発割合は61%であり、DORの中央値は未到達である。
全症例における5年生存率は31.7%であったが、奏効が得られた群(BOR)では55.8%と良好な生存率を示した。
安全性に関しては、注入後3年以降に新たな安全性シグナルや続発性T細胞悪性腫瘍、複製可能レンチウイルスの検出は認められなかった。
バイオマーカー解析では、ベースラインのLDH値やCRP値が低いこと(data supplement)、および腫瘍組織におけるMyc陰性(免疫染色)や高いT細胞浸潤(ベースラインで腫瘍組織内に浸潤しているCD3陽性(CD3+)T細胞の割合(%)を定量化。「CD3+ > 3%」群 vs「CD3+ ≤ 3%」群)が、良好なPFSおよびOSと有意に関連していた。
Clinical perspective
本解析の新規性は、tisagenlecleucel投与後に長期生存している患者の8割が、5年経過後も追加治療なしで無増悪を維持していることを実証し、CAR-T細胞療法による治癒の可能性を実数として示した点にある。
これは、先行して報告されているaxicabtagene ciloleucelのZUMA-1試験の長期フォローアップ結果と同様の結果であり、r/r LBCLの三次治療以降における標準治療の一つとしての位置づけを支持するものとなる。
単群試験であることや長期評価例が一部に限られるという制限はあるが、治療前の炎症状態や免疫微小環境が長期予後に寄与することを示した知見は、適切な患者選択に役立つ。
現在は、PAVO試験によって最長15年間にわたる遅発性有害事象の監視と、治療効果の超長期的な検証が進められている。


