「免疫不全」と聞いて、皆さんはどのような状態を想像するでしょうか。
「感染症に弱い」「通常では考えにくい感染症を起こす」「発熱時の対応が難しい」など、さまざまなイメージを思い浮かべるかもしれません。
実際、免疫不全患者の背景は極めて多様です。低栄養や糖尿病を有する患者も免疫機能が低下した状態にありますし、がんに対する化学療法や、リウマチ・膠原病疾患に対する免疫抑制薬や副腎皮質ステロイド治療を受けている患者も免疫不全に該当します。

しかし、これらをすべて単純に「免疫不全患者」と一括りにしてしまうと、病態の理解をかえって妨げ、免疫不全患者の感染症診療が分かりにくくなる原因となります。
本章では、免疫不全患者を大枠で評価するための考え方と基本原則について解説します。
まず強調したい点は、免疫不全患者の感染症診療は、一般的な感染症診療の枠組みの延長線上に位置づけられるということです。
免疫不全だからといって、全く異なる思考体系が異なるわけではありません。
むしろ、一般的な感染症診療の枠組みを十分に理解したうえで、その中に免疫不全患者特有の要素を段階的に組み込んでいくことが重要です。
したがって、免疫不全患者の感染症診療を学ぶ際には、まず一般的な感染症診療の基本的な考え方を確実に身につけましょう。


