再発・難治性ALアミロイドーシスに対するエルラナタマブの有効性と安全性:高度心病変合併例を含む検討

再発・難治性ALアミロイドーシスに対するエルラナタマブの後方視的解析 Recent Papers

Vianna P, Chakraborty R, Hossain S, et al. Safety and efficacy of elranatamab in patients with relapsed and/or refractory immunoglobulin light-chain amyloidosis. Blood. 2025;146(16):1929-1935. doi:10.1182/blood.2025028383

Why this paper matters

ダラツムマブ抵抗性の再発・難治性ALアミロイドーシスに対しては、確立された標準治療が存在せず、極めて予後不良である。本研究は、多発性骨髄腫で承認されているBCMA標的二重特異性抗体エルラナタマブが、高度な心病変を有する高リスク症例においても迅速かつ深い血液学的奏効と臓器奏効をもたらす可能性を初めて示した。

Study overview
ALアミロイドーシスによる臓器機能障害の改善を目指す上で遊離軽鎖(iFLC)の迅速かつ深い正常化が重要である。初発ALアミロイドーシスに対する標準治療であるDaraCyBorD療法に抵抗性を示す症例に対する治療選択肢は極めて限定的である。エルラナタマブは再発難治多発性骨髄腫で承認されている BCMAを標的とした二重特異性抗体であり、既存治療と比較し高い奏効率を誇っている
本研究は、エルラナタマブが、同様の形質細胞疾患であるALアミロイドーシスにおいても有効かつ安全であるとの仮説に基づき実施された。
対象はDana-Farber Cancer Institute/Brigham and Women’s Hospital もしくは Columbia University Medical Centerでのダラツムマブ治療歴を有する再発・難治性ALアミロイドーシス患者9名であり、単剤でのエルラナタマブ投与(ステップアップ投与および週1回皮下投与)の効果を評価した後方視的解析である。難治性は2サイクル後にVGPR以上を達成できなかった場合と定義し、血液学的再発はiFLCと非病変FLCの差(dFLC)が最低値から少なくとも20 mg/L増加した場合と定義した。対象者の多くはMayo Stage IIIA/IIIBの高度な心病変を有しており、主要な評価項目として血液学的奏効、臓器奏効、および安全性が設定された。

Key findings

血液学的全奏効率(ORR)は100%であり、89%が非常に良好な部分奏効(VGPR)以上、67%が完全奏効(CR)を達成した。
奏効までの期間の中央値は9日と極めて迅速であり、第1サイクル終了時点で78%の症例がdFLC 10 mg/L未満に到達している。
微小残存病変(MRD)評価が可能であった5名全員において、中央値5サイクル後にMRD陰性化が確認された。
臓器奏効については、評価可能であった5名全員が3カ月時点で心臓奏効(VGPRまたはPR)を達成し、1名で6カ月時点の腎臓CRが認められた。
安全性に関しては、6名(67%)でサイトカイン放出症候群(CRS)が発生したが、多くはGrade 1-2であり、免疫細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は1名(Grade 2)であった。
高度な心病変を有する症例においてGrade 3のCRSに伴う心原性ショックを1名に認めたが、適切な介入により回復しており、既知の有害事象プロファイルを超える新たな懸念は報告されなかった。

Clinical perspective

ダラツムマブ抵抗性の高リスクALアミロイドーシスにおいて、エルラナタマブはMRD陰性化を伴う極めて迅速な血液学的奏効を誘導し得る。
これは、同様に有望な結果が報告されているベランタマブ マフォドチンなどと並び、強力な治療選択肢となる可能性がある。
症例数が少なく追跡期間が短いという制限はあるものの、進行した心不全を合併する脆弱な症例においても、多職種連携による慎重な管理下で安全に投与できる可能性が示された。
今後の展望としては、現在登録が進んでいる前向き第1/2相試験(NCT06569147)により、より大規模な集団での長期的な有効性と安全性の検証が期待される。