再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するCD3/CD20二重特異性抗体のリアルワールドでの治療成績とCD20発現の意義

再発・難治性DLBCLにおけるCD3/CD20二重特異性抗体のリアルワールド解析 Recent Papers

Brooks TR, Zabor EC, Bedelu YB, et al. Real-world outcomes of patients with aggressive B-cell lymphoma treated with epcoritamab or glofitamab. Blood. 2025;146(18):2177-2188. doi:10.1182/blood.2025029117

Why this paper matters

米国におけるCD3/CD20二重特異性抗体エプコリタマブおよびグロフィタマブの最大規模のリアルワールド解析であり、治験不適格例を含む広範な対象での有効性と安全性を実証した。特にベースラインのCD20発現低下や治療後の抗原消失が予後不良因子であることを示し、実臨床における標的抗原評価の重要性を強調している。

Study overview

再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(R/R DLBCL)に対し、エプコリタマブやグロフィタマブといったCD3/CD20二重特異性抗体(BsAb)が承認されているが、治験データは選択基準を満たす患者に限定されているため、実臨床における有効性と安全性の検証が求められていた。
本研究は米国の21施設において、2023年1月から2024年10月の間に市販のBsAb単剤療法を受けたR/R DLBCL患者245名(エプコリタマブ156名、グロフィタマブ89名)を対象とした多施設共同後方視的解析である。
対象者の71.0%は併存疾患や血球減少により先行治験の除外基準に該当し、60.0%はキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法後の症例であった。
主要な解析項目は全奏効率(ORR)、完全奏効率(CR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)および安全性であり、背景因子の調整には傾向スコアを用いた逆確率重み付け(IPTW)法や多変量Cox回帰モデルが用いられた。

Key findings

解析対象全体(201/245(82.0%))におけるORRは51.7%、CRは25.4%であり、主要な先行試験と同等(と書いてあるが数値上は悪い(CR rate 40%弱)。Epcolitamab, Glofitamab)の反応が得られた一方で、中央値としてのPFSは2.5か月、OSは7.8か月と、生存期間は治験成績を下回る結果となった。最大反応までの期間中央値は55日で両剤差は見られなかった。
サブグループ解析では、治験不適格例は適格例と比較してPFSおよびOSが有意に短く(IPTW)、CAR-T療法後90日以内にBsAbを開始した症例でも治療成績の低下が認められた。
注目すべき点として、治療前の生検でCD20が検出不能であった症例は、検出された症例に比べPFS(1.3か月対3.5か月)およびOS(2.0か月対11か月)ともに極めて不良であった。
安全性に関しては、サイトカイン放出症候群(CRS)の発現率がエプコリタマブで47.0%、グロフィタマブで27.0%であり、エプコリタマブ群では3例の致命的なCRSが報告された。
また、BsAb治療後に増悪し、ペア生検が行われた症例の89.5%において、フローサイトメトリーや免疫染色によるCD20の発現消失が確認された。

Clinical perspective

本研究では、実臨床において標的抗原であるCD20の発現低下がBsAbの治療失敗に直結する重要なバイオマーカーであることを、大規模な生検データに基づき明らかにした。
実臨床で難しい面もあるかもしれないが、BsAb導入前や治療抵抗時の再生検は予後予測に有用であることが示唆された。さらにCAR-T療法後早期の増悪例や治験不適格となるフレイルな症例に対する単剤療法の効果の限界が明らかとなった。
今後は、抗原消失を克服するための他剤との併用療法や、より早期のラインでの活用を目指した進行中の研究が、BsAbの最適な治療戦略の確立に寄与することが期待される。