高齢AML患者における高齢血縁一致ドナーと若年ハプロドナーの移植成績の比較:EBMTレジストリ解析

高齢AML患者におけるドナー別移植成績のレジストリ解析 Recent Papers

Poiré X, Labopin M, Polge E, et al. Older matched sibling donor vs young haploidentical donor for older patients with acute myeloid leukemia.(https://doi.org/10.1182/bloodadvances.2024015582Blood Adv. 2025;9(20):5192-5200. doi:10.1182/bloodadvances.2024015582

Why this paper matters

高齢の急性骨髄性白血病(AML)患者において、高齢の血縁HLA一致ドナー(matched sibling donor: MSD)と若年のハプロドナー(haploidentical donors: HID)のいずれが最適であるかは、実臨床における重要な課題である。本研究は、両ドナー間での生存成績が同等であることを示す一方で、再発抑制と非再発死亡(NRM)のトレードオフがドナー属性により明確に異なることを明らかにしており、症例ごとのドナー選択を最適化する事の重要性を示唆している。

Study overview

高齢のAML患者は高齢の兄弟姉妹をドナーに持つことが多く、高齢ドナーを用いた移植は移植片宿主病(GVHD)の増加や免疫回復遅延に伴うNRMの増加が懸念され、より若年のバンクドナー(matched unrelated donor: MUD)からの移植が望まれるが移植自体の遅延が生存に関与する可能性もありハードルが高い。
移植後シクロホスファミド(PTCy)を用いたHIDによる移植は近年頻用されている。
MSD・MUD・HID間のアウトカム差は小さい事がわかってきてはいるものの、MSDでの良好な生存率についても報告されPTCy時代においてもHLA適合性は重要視されている。
若年HIDは若年MUDよりもNRMが高いものの、高齢非血縁HLA不一致ドナーよりもNRMが低いとする報告もあり、年齢による移植成績へのインパクトは無視できない要素である。
本研究は、第1完全寛解期(CR1)にある60歳以上のAML(de novo or secondary )患者1247名を対象とし、50歳以上のMSD(721名)と40歳以下のHID(526名)を用いた移植成績を比較した、欧州造血細胞移植学会(EBMT)のレジストリに基づく後方視的解析である。
MSD群はin vivoのT細胞除去(ATGまたはアレムツズマブ)を用い、HID群はPTCyをGVHD予防のベースとしていた。骨髄破壊的前処置は、TBI(線量>6Gy)、経口ブスルファン総投与量>8mg/kg、または静脈内Bu総投与量>6.4mg/kgのいずれかを含むレジメンと定義した。その他の全レジメンは減弱強度前処置(RIC)と定義した。前処置のレジメンは、移植前処置強度スコアに基づき割り付けた。
主要評価項目はGVHD非発生再発非発生生存率(GRFS)に設定され、統計手法としてはKaplan-Meier法、Gray統計量、およびCox比例ハザードモデルを用いた多変量解析が実施された。

Key findings

主要評価項目である2年GRFSは、高齢MSD群で46.8%、若年HID群で46.2%であり、両群間に有意差は認められなかった(P=0.76)。
多変量解析の結果、若年HID群は高齢MSD群と比較して再発率が有意に低かった(HR 0.62, P=0.003)が、一方でNRMは有意に高かった(HR 1.54, P=0.012)。
また、2年全生存率(OS)についても高齢MSD群が62.9%、若年HID群が62%と、ドナー型による有意な差は確認されなかった(P=0.29)。
急性GVHDに関しては、Grade 2-4の発生率はHID群で有意に高かったものの、重症度が高いGrade 3-4では両群間に統計学的な有意差は認められなかった(6.6%対4.6%, P=0.12)。

Clinical perspective

本研究の新規性は、高齢AML患者においてドナー年齢とHLA合致度の組み合わせが移植成績に与える影響を大規模に検証し、高齢MSDと若年HIDの生存成績が概ね同等であることを示した点にある。
若年HIDはより強力な移植片対白血病効果を示唆する再発抑制効果を持つものの、急性GVHDや感染症に伴うNRMリスクが高まるため、併存疾患の多い高齢患者では高齢MSDの方が安全な選択肢となる可能性がある。
本研究は後方視的解析であり、ドナー選択バイアスの存在や分子遺伝学的データの欠如、ドナー型とGVHD予防法が固定されているためそれぞれの効果を独立して評価できないといった制限がある。
今後は、HLA-B leader matchingなどの特定のHLA因子を考慮したHIDの選択が予後をさらに改善するかについて、詳細な調査が期待される。